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感染対策Q&A

ハウスキーピング

Q
清掃について2点程お願いします。
  ・MRSAや疥癬、耐性緑膿菌、結核疑いの病室は、モップや掃除機を別にして
   行っていますが、そこまでの区別は必要でしょうか。
  ・感染症以外の普通の病室や廊下の清掃について見直したいと思っています。
   当院は毎日掃除機をかけていますが、患者さんから”うるさい”と苦情を言われる
   こともあり、掃除機を毎日かける事に意味があるのか、意見を伺いたいと思います。
まず「病院清掃の基本4原則」を確認しますと、
 @埃を立てない清掃、A静粛な清掃、B衛生観念のある清掃、C患者優先の清掃
となります。

 ・この点を考えますと、通常の掃除機を使用して患者さんの使用している病室を
  清掃することは適切ではありません。床の清掃に関して言えば、床は感染に
  直接関わる部分ではありませんから、汚れと埃を除く事が清掃の主目的となり
  ます。人の出入りの多い病室は一日で埃が出るものです。そのために毎日の
  清掃は必要と思われます。また、その際に使用するモップに関しては、使用法、
  洗濯法、乾燥等に適切な配慮が必要なことから、必要な本数を揃えることや
  保管場所の確保も必要ですし、手間のかかる作業を強いられます。
  現在は使い捨ての良いものが出ておりますので、当院では使い捨ての湿性紙
  モップと集塵紙モップを使用しています。
 ・接触感染の原因になるMRSAやVRE、耐性緑膿菌は、環境表面の中では、ベッド
  柵や床頭台、オーバーテーブル、ドアノブ、椅子など患者さんや医療者含め多く
  の人が接触するものを介して伝播していきます。そのような菌を排菌している
  患者さんが使用する上記のものは、手の触れる部分を第4級アンモニウム塩系
  消毒薬やアルコールを用いて清拭します。床の清掃は通常の通りで良く、消毒は
  不要です。角化型疥癬以外の一般の疥癬の感染経路は直接接触感染で、あまり
  感染力は強くありません。そのため、床及び環境表面の清掃は特に一般の清掃と
  分ける必要はありません。しかし、角化型疥癬の場合にはダニの寄生数も大変に
  多く、患者さんの皮膚から落ちた鱗屑の付着する寝具や器具を介しても感染が
  起こります。そのため、集団感染の危険も高く、患者さんは厳重な個室隔離の
  対象となります。使用したリネン等の扱いには接触予防策を適切に行い、鱗屑等を
  室外に拡散させないような注意が必要になります。清掃については、鱗屑を含んだ
  埃を十分に除く事が大切であり、掃除機の使用で鱗屑を飛散させる事は不適切
  です。尚、原因のヒゼンダニに対しては一般の消毒薬は無効です。環境表面の
  清拭は湿式に汚れと埃を取り除く通常の清掃で構いません。
  結核は飛沫核感染ですから、病室の空調管理が大切になります。飛沫核を室外に
  飛散させないよう、HEPAフィルターを備えた陰圧個室の管理が最も望ましいといえ
  ます。清掃の際には、飛沫核感染予防のN-95マスクをつけて行いますが、床や
  環境表面の特別な消毒は通常必要ないとされ、清掃及び清拭は通常のものと
  変わりはありません。

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