MRSA・緑膿菌

- 当院に他院から転院してくる方を大別すると、次の3通りになります。
�@ 患者情報にMRSA陽性の記載はあるが、治療はしていない。
�A MRSA陽性で治療及び経過を追って検査をしている。
�B MRSAの情報記載はないが、転院時に肺炎症状があり喀痰検査で
MRSA陽性
当院ではMRSAの保菌部位別に対策マニュアルを作成して対応してい
ます。
上記�A�Bの場合入院時は個室管理してきましたが、この度マニュアルを
見直すことになりました。
上記�@�A�B等の事例では
(イ)標準予防策のみで対応する (ロ)ガウンの必要性 (ハ)個室管理の
必要性など患者情報の何をどのように判断して、対策を考えればよいか
教えてください。

- 1.感染対策を行う上での判断の一般的な判断の基準について
長期療養型病院」といいましても、入院されている患者さん方、ご様子は
病院によってかなり異なるのではないかと思います。「実際にはどのよう
な方々が入院されているか」が判断のためには重要です。 もし、MRSA
感染症を発症しうるような全身状態の方、具体的には
1) 胃瘻、気管切開がある、中心静脈栄養中であるなどの医療行為を
受けている
あるいは
2) 全身状態が良好でない方
が多いようであれば、MRSA感染症を発症されるリスクは高く、MRSA感染
対策はしっかりと行う必要があります。一方、鼻腔などにMRSA保菌をして
いるが外来に歩いてお見えになるぐらい状態のよい方であれば、MRSA感
染症の発症リスクは極めて低いですので、標準予防策のみで十分対応可
能です。よって貴院に入院されている方々がMRSA感染症を実際に発症し
うるような状態かどうかを、まずはご判断いただく必要があります。 頂いた
情報を拝読しますと、�A�Bのような患者さんがおられるということですので、
おそらくは同様に全身状態があまりよくない方が同じユニット内に多くおられ
るのではないでしょうか。よってMRSA感染症を発症するリスクのある方が
多く入院されているとお察しします。もしそうであれば、MRSA感染対策は十
分に行う必要があると思います。
2. 貴院での感染対策上の提案など
上記を踏まえて、可能な限りご提案をします。貴院の詳細なる状況を存じ
上げないので、一般的な内容のところもあることをご容赦ください。
�A、�Bの方は菌量が多いので、MRSAを拡散させるリスクは高いと思いま
す。よって感染対策はまずは標準予防策をきちんと行うことを前提に、可
能な限り接触感染対策を行うことになります。手袋着用、ガウンもしくはエ
プロンの着用、個室管理を原則として行います。
ただし、個室管理は現実には部屋数の問題で難しいこともあると思います。
その場合はMRSA陽性の方々に同じ部屋に入って頂く方法もあります(コホー
ティング)。それでも無理な場合は、ベッド間を十分に明けるなどして、ケア
時には手袋着用、ガウンもしくはエプロンの着用を行い、次の患者さんに移る
際には手指衛生を徹底して行うなどの対応が必要でしょう。
また�@のような患者さん方にどこまで対策を行うかは、患者さん方の状態
次第です。保菌しているだけで全身状態がよくてADLも保たれていれば、
隔離予防策を特別には行わないという考えもあるでしょう。ただし全身状態
がよくなければ拡散させる危険性も高まりますので、接触感染対策はより
必要かと思います。もちろん、保菌している方を全てADL全身状態にかかわ
らず接触感染対策の対象とする方法もありますが、現実には施設の部屋
の確保の限界もあると思います。このような場合は、施設内でよく相談され
た上で、施設としての方針を選択して、それをきちんと行えばよいと思います。



